女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN 森博嗣
女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN 森博嗣
旅先で道に迷ったサエバ・ミチルは、パートナーであるウォーカロンのロイディとともに、ある街へ導かれる。その街ルナティックシティを統治している女王デボウ・スホは、ミチルが来るという<神の予言>があったという。その街、ルナティックシティは常識とは外れた、理解しがたい事象や習慣のある奇妙な場所だった。その最たるものは、ここの住人の死に対する概念。ここでは「死」は存在せず、それは「永い眠り」と呼ばれ目覚めの時を待つのだった。このシティでミチルは因縁の人物と出会ってしまう―。
100年後の世界が舞台のSF・ミステリィ。「死」の存在しない世界に、突如として現れた「他殺死体」。殺人の概念のない世界での生とは、死とは。
ミチルのこの世界の認識の違いが、トリックの鍵となっている。森博嗣は『すべてがFになる』から始まって、そのミステリの鍵を「認識論」に置いている。そして人並み外れた時間感覚。
この作品でも謎は余韻を持って残されている。なぜミチルとロイディは常に行動を共にするのか。このシティを造ったのは誰か。「永い眠り」の意味とは。その答えらしきヒントは作品中にちりばめられているが決してあからさまにはしない。
この『女王の百年密室』の引用作品はジュリアン・グラックの散文詩集『大いなる自由』である。自由とは何か。生きていることの束縛。人間であることの束縛。死はそこからの自由なのか。人が生きて、考えたり欲望や意志を持つことは自由の様だけれど、そこからまた新たな束縛が生じる。「愛は束縛」というけれど人間性と自由というものは相矛盾するのかもしれない。そして自由を失い、誰かに支配されてこそ生まれる自由もある。自由からの逃走?全く人間は矛盾に満ちている。
ルナティックシティとは、神に愛された女王を束縛するための密室GOD SAVE THE QUEEN。ところで気になるのは、この「女王シリーズ」と「四季シリーズ」との関係性。ここまで言及するとネタバレし過ぎかもしれないが、(まあ散々既出だけど)『四季 冬』を読めば気がつくと思う。続きは『迷宮百年の睡魔』へ。
TB:神保町の片隅でさん
Colorless Green Ideasさん
テキスケさん
関連記事:『四季 冬』の感想
あらすじ(「BOOK」データベースより)
2113年の世界。小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行していたロイディは、森の中で孤絶した城砦都市に辿り着く。それは女王デボウ・スホに統治された、楽園のような小世界だった。しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、完璧なはずの都市に隠された秘密とミチルの過去は呼応しあい、やがて―。神の意志と人間の尊厳の相克を描く、森ミステリィの新境地。
旅先で道に迷ったサエバ・ミチルは、パートナーであるウォーカロンのロイディとともに、ある街へ導かれる。その街ルナティックシティを統治している女王デボウ・スホは、ミチルが来るという<神の予言>があったという。その街、ルナティックシティは常識とは外れた、理解しがたい事象や習慣のある奇妙な場所だった。その最たるものは、ここの住人の死に対する概念。ここでは「死」は存在せず、それは「永い眠り」と呼ばれ目覚めの時を待つのだった。このシティでミチルは因縁の人物と出会ってしまう―。
100年後の世界が舞台のSF・ミステリィ。「死」の存在しない世界に、突如として現れた「他殺死体」。殺人の概念のない世界での生とは、死とは。
ミチルのこの世界の認識の違いが、トリックの鍵となっている。森博嗣は『すべてがFになる』から始まって、そのミステリの鍵を「認識論」に置いている。そして人並み外れた時間感覚。
この作品でも謎は余韻を持って残されている。なぜミチルとロイディは常に行動を共にするのか。このシティを造ったのは誰か。「永い眠り」の意味とは。その答えらしきヒントは作品中にちりばめられているが決してあからさまにはしない。
この『女王の百年密室』の引用作品はジュリアン・グラックの散文詩集『大いなる自由』である。自由とは何か。生きていることの束縛。人間であることの束縛。死はそこからの自由なのか。人が生きて、考えたり欲望や意志を持つことは自由の様だけれど、そこからまた新たな束縛が生じる。「愛は束縛」というけれど人間性と自由というものは相矛盾するのかもしれない。そして自由を失い、誰かに支配されてこそ生まれる自由もある。自由からの逃走?全く人間は矛盾に満ちている。
ルナティックシティとは、神に愛された女王を束縛するための密室GOD SAVE THE QUEEN。ところで気になるのは、この「女王シリーズ」と「四季シリーズ」との関係性。ここまで言及するとネタバレし過ぎかもしれないが、(まあ散々既出だけど)『四季 冬』を読めば気がつくと思う。続きは『迷宮百年の睡魔』へ。
TB:神保町の片隅でさん
Colorless Green Ideasさん
テキスケさん
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あらすじ(「BOOK」データベースより)2113年の世界。小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行していたロイディは、森の中で孤絶した城砦都市に辿り着く。それは女王デボウ・スホに統治された、楽園のような小世界だった。しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、完璧なはずの都市に隠された秘密とミチルの過去は呼応しあい、やがて―。神の意志と人間の尊厳の相克を描く、森ミステリィの新境地。











