蛇にピアス 金原ひとみ
『蛇にピアス』金原ひとみ
「スピリットタンって知ってる?」「何?それ。分かれた舌って事?」「そうそう。蛇とかトカゲみたいな
舌。人間もああいう舌になれるんだよ」―
非常に印象的な書き出しで、始まる。痛みを感じさせる表現の数々。その痛みは、ありきたりなトラウマとかそういう生ぬるいものではなく、理不尽な現実に対する痛みだ。ざらざらとした現実感というか、主人公の世界に対する目がとても私的には共感した。
でも作品的には未熟なところもあって、とくにラストは尻すぼみだったと思う。けれど彼女は次作『アッシュベイビー』や『AMEBIC』へと著しく成長を遂げている。『アッシュベイビー』なんて劇薬小説と言っていいんじゃないだろうか。えぐいぺドフィリアの話。
ところで『蛇にピアス』は映画化されるんですね。まあ、上の三作の中では一番映像化に向いてるかな。芥川賞受賞作だし。芥川賞の選考では自身の作品でもピアスの題材を扱っている村上龍さんが強く推されたのだとか。
衝撃の映画化! 20歳で芥川賞とった金原ひとみ「蛇にピアス」を世界の蜷川が映像に!
“世界の蜷川”が脱ぎっぷりにホレた!「蛇にピアス」の吉高由里子
“演劇のニナガワ”から「監督・蜷川」へ…2年目女優・吉高由里子で勝負
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ピアッシングや刺青などの身体改造を題材に、現代の若者の心に潜む不気味な影と深い悲しみを、大胆な筆致で捉えた問題作である。埋め込んだピアスのサイズを大きくしていきながら、徐々に舌を裂いていくスプリットタン、背中一面に施される刺青、SM的なセックスシーン。迫力に満ちた描写の一方で、それを他人ごとのように冷めた視線で眺めている主人公の姿が印象的だ。第130回芥川賞受賞作品。
顔面にピアスを刺し、龍の刺青を入れたパンク男、アマと知り合った19歳のルイ。アマの二股の舌に興味を抱いたルイは、シバという男の店で、躊躇(ちゅうちょ)なく自分の舌にもピアスを入れる。それを期に、何かに押されるかのように身体改造へとのめり込み、シバとも関係を持つルイ。たが、過去にアマが殴り倒したチンピラの死亡記事を見つけたことで、ルイは言いようのない不安に襲われはじめる。
本書を読み進めるのは、ある意味、苦痛を伴う行為だ。身体改造という自虐的な行動を通じて、肉体の痛み、ひいては精神の痛みを喚起させる筆力に、読み手は圧倒されるに違いない。自らの血を流すことを忌避し、それゆえに他者の痛みに対する想像力を欠落しつつある現代社会において、本書の果たす文学的役割は、特筆に価するものといえよう。弱冠20 歳での芥川賞受賞、若者の過激な生態や風俗といった派手な要素に目を奪われがちではあるが、「未来にも、刺青にも、スプリットタンにも、意味なんてない」と言い切るルイの言葉から垣間見えるのは、真正面から文学と向き合おうとする真摯なまでの著者の姿である。(中島正敏)
あらすじ
ピアスの拡張にハマっていたルイは、「スプリットタン」という二つに分かれた舌を持つ男アマとの出会いをきっかけとして、舌にピアスを入れる。暗い時代を生きる若者の受難と復活の物語。第130回芥川賞受賞作。

「スピリットタンって知ってる?」「何?それ。分かれた舌って事?」「そうそう。蛇とかトカゲみたいな
舌。人間もああいう舌になれるんだよ」―
非常に印象的な書き出しで、始まる。痛みを感じさせる表現の数々。その痛みは、ありきたりなトラウマとかそういう生ぬるいものではなく、理不尽な現実に対する痛みだ。ざらざらとした現実感というか、主人公の世界に対する目がとても私的には共感した。
でも作品的には未熟なところもあって、とくにラストは尻すぼみだったと思う。けれど彼女は次作『アッシュベイビー』や『AMEBIC』へと著しく成長を遂げている。『アッシュベイビー』なんて劇薬小説と言っていいんじゃないだろうか。えぐいぺドフィリアの話。
ところで『蛇にピアス』は映画化されるんですね。まあ、上の三作の中では一番映像化に向いてるかな。芥川賞受賞作だし。芥川賞の選考では自身の作品でもピアスの題材を扱っている村上龍さんが強く推されたのだとか。
衝撃の映画化! 20歳で芥川賞とった金原ひとみ「蛇にピアス」を世界の蜷川が映像に!
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“演劇のニナガワ”から「監督・蜷川」へ…2年目女優・吉高由里子で勝負
Amazon.co.jpピアッシングや刺青などの身体改造を題材に、現代の若者の心に潜む不気味な影と深い悲しみを、大胆な筆致で捉えた問題作である。埋め込んだピアスのサイズを大きくしていきながら、徐々に舌を裂いていくスプリットタン、背中一面に施される刺青、SM的なセックスシーン。迫力に満ちた描写の一方で、それを他人ごとのように冷めた視線で眺めている主人公の姿が印象的だ。第130回芥川賞受賞作品。
顔面にピアスを刺し、龍の刺青を入れたパンク男、アマと知り合った19歳のルイ。アマの二股の舌に興味を抱いたルイは、シバという男の店で、躊躇(ちゅうちょ)なく自分の舌にもピアスを入れる。それを期に、何かに押されるかのように身体改造へとのめり込み、シバとも関係を持つルイ。たが、過去にアマが殴り倒したチンピラの死亡記事を見つけたことで、ルイは言いようのない不安に襲われはじめる。
本書を読み進めるのは、ある意味、苦痛を伴う行為だ。身体改造という自虐的な行動を通じて、肉体の痛み、ひいては精神の痛みを喚起させる筆力に、読み手は圧倒されるに違いない。自らの血を流すことを忌避し、それゆえに他者の痛みに対する想像力を欠落しつつある現代社会において、本書の果たす文学的役割は、特筆に価するものといえよう。弱冠20 歳での芥川賞受賞、若者の過激な生態や風俗といった派手な要素に目を奪われがちではあるが、「未来にも、刺青にも、スプリットタンにも、意味なんてない」と言い切るルイの言葉から垣間見えるのは、真正面から文学と向き合おうとする真摯なまでの著者の姿である。(中島正敏)
あらすじ
ピアスの拡張にハマっていたルイは、「スプリットタン」という二つに分かれた舌を持つ男アマとの出会いをきっかけとして、舌にピアスを入れる。暗い時代を生きる若者の受難と復活の物語。第130回芥川賞受賞作。












