それでもボクはやってない(TV放映版)を見て

2008/03/02 [日] 00:42 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
土曜プレミアム劇場でやっていた映画「それでもボクはやってない」を観た。これはおそらく相当なカット編集がなされていたようなので今度完全版をDVDで観たいと思う。といってもラストは多分そのままだと思うけど。


開始20分くらいで既に涙が出てきた。あまりの理不尽さに。やはり私の涙腺は「理不尽」「不条理」「やりきれなさ」に弱い。これが自分だったらと、想像すると恐ろしい。留置所に入れられた段階で、刑事の取り調べを受ける段階で泣き出しているだろう。
が、私は女なのでとりあえず痴漢冤罪の心配はない。女性によるセクハラや性犯罪ももちろんあるが、痴漢行為で加害者として疑われることはまずないだろう。なので本当の意味で痴漢冤罪の恐怖を共感しているとは言えないかもしれない。悔しいけれど。男性の視聴者の多くはきっと「女は良いよな」という思いがあると思う。それは仕方がない。私だって映画の被害者の女子中学生に「曖昧なこと言うな」と苛立ちを覚えた。(といって彼女が悪いわけではないが。この女子中学生だって実際に痴漢に遭ってつらい思いをし、さらに取り調べでも嫌な思いをしただろう。)
女性差別があるように男性差別があるのも事実なのだ。女性も男性も、本当の意味で対等にお互いのことを思いやらなければいけない。


ところで私も電車内の痴漢にあったことがあるが、「痴漢です」「やめてください」と声を出した事は一度もない。というか声を出せなかった。
高校生の頃、通学の電車内での事だがその日はいつもより混んでいてぎゅうぎゅう詰めで身動きが取れない車内状況だった。しかも運悪くその日は友人がおらず一人だった。DQN4人に囲まれていきなり胸を肘でつつかれた。無理矢理体を押しつけてくるし目の前で胸をつかんでるので誰がやっているかははっきり分かっていた。しかもニヤニヤ笑っている。私は囲まれて動けないし、どうしようもないし、恥ずかしいわで、うつむいてしまった。これは複数だったし痴漢というより、嫌がらせ、からまれたというのが正しいのかもしれない。すぐ近くにいた女の子は気付いていたらしくかわいそうという目でみていた。多分何人かは気づいていたと思う。がみんな中学生っぽかったし、DQN4人は柄がわるくて怖そうだったのでどうしようも無かった。私は怖いと言うより、痴漢に遭っているという事が恥ずかしくてただひたすら我慢していた。電車を降りてから、急速に腑煮えくりかえる位、怒りがこみ上げてきた。線路に突き落としたい位だった。位じゃなくてほんとに突き落としたかった。でももう犯人は人混みに消えてしまった。


本来なら電車内のその場で騒ぐべきだったのだ。電車を降りてからでは遅い。


映画のラストで主人公が判決理由を聞きながら独白するシーン。
「『真実は神のみぞ知る』という裁判官がいたそうだが、それは違う。ぼくは、ぼくだけが真実を知っている」というような内容だったと思う。
人は結局、主観でしか生きられないということ。自分の経験、体験・記憶は自己の身体という境界線の中にしか存在せず、それを他者と共有することはできない。100%の客観なんて、ない。その圧倒的な孤独感にまた泣いた。
しかしながら、それでも人の頭の中を伝える事はできると信じたい。主観から客観に近づくために、100%の客観に少しでも近づくために努力を惜しまないのが人間だ。そのために裁判があるのだと思っていたが、日本ではどうもちょっと違うらしい。


絶望的なラストで、見終わった後すっきりする映画ではない。が、本来そういうものが映画だし、観客に引きずらせ、考えさせるのが映画ってものだと思う。泣かせて、感動させて、カタルシスを与えて、見終わった後は何も残らないという、最近多い「死にオチ」感動映画は、抜くためのAVと変わらないと思う。そういう作品も必要だというのは分かるが。そればっかじゃあね。
というわけで、久々に考えさせられる良質の映画を観れた。


*映画で裁判傍聴マニアらしき男が出てきて、主人公に「やったんだろ」というが、あれは阿蘇山大噴火がモデルらしい(笑)です。ストリームのコラムの花道で阿蘇山さんが周防監督に「いやアレは、君みたいだけど、映画の為にデフォルメしたっていうか・・」とかなんとか謝られたと言ってましたw阿蘇山さんご本人は偏見のない、頭の良い方ですよ。


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 コメント


>>okitaさん
やはりただのミスでしたか。失礼しました。お気を患わせてすみません。あんまり気にしないで下さい。
携帯版の仕様でしょうか?バグならヤプログの方に報告しておきます。ところでGoogleアクセラレーターって携帯でも使えたんですね。
あとこの記事にずっとレスしなくてもいいんで。どの記事に書かれてもすぐ読めますから。一つの記事に記事と関係のない雑談レスが延々続くのもあれなんでwこのコメント以降レスは必要ありません。締め切らせていただきます。
Posted by:peco  at 2008/04/13 [日] 14:37


pecoさま
URL、失礼致しました。
携帯で書き込んでいたのですが なぜかこちらのブログのアドレスが先に表示されていまして、うっかりそのまま送信してしまいました。

実はコメントを書き込むこと自体に慣れておらず、この文自体も正しい形で書き込めているのか大変心もとない次第です。 失礼な箇所があるかもしれませんが何卒お許しください。
Posted by:okita  at 2008/04/13 [日] 04:20


>>okitaさん
コメントありがとうございます。
あの、URL欄に私のブログのアドレスを書かれているのはなぜでしょう?間違われたんでしょうか。
urlはご自分のブログやHPのアドレスを書いて下さいね。騙りと誤解される場合もありますから。
Posted by:peco  at 2008/04/10 [木] 19:40


キリンジ聴きました。よいですねー 歌詞も音も丁寧につくり込んでて。
聴き入っちゃいましたよ、 一気にファンです。
クレイジーサマー 愛のコーダ エイリアンズ …せつない。

新しいの出ましたね 早く買わないとw
Posted by:okita  at 2008/04/10 [木] 05:09


>>okitaさん
こんばんわ。映画紹介して下さってありがとうございます。日本映画の巨匠ですねー。あんまり昔の日本映画は見たことないのですが、是非見たいですね。
 仏頂面でキリンジのこと書かれてましたね。私もエイリアンズ大好き。何度聞いても切なくなります。是非一度聞いてみて下さい。「クレイジーサマー」という曲もおすすめ。
Posted by:peco  at 2008/03/15 [土] 20:43


はじめまして。
okitaと申します。
好みの話が多いのでたまに読ませていただいてます。

それでもぼくはやってない 確かに「観客の記憶を刺激して感情を高ぶらせるだけの映画にはせんぞ! 」と言う監督の意思を感じますよね。
僕は劇場で観たんですが、収監(刑が決まる前はなんていうのでしょう?)された主人公が朝 目覚める表情を撮ったアップが素晴らしいと思いました。


この映画が好きなあなたに是非観てほしい一作。二作…

溝口健二監督
「西鶴一代女」
「残菊物語」

悲劇を絶対にお涙頂戴にしないという強い意思が大好きです○
気が向いた時にでも是非。もしかしたら観たことあるかもしれませんが…。


週刊誌コラムで宮崎哲弥がキリンジすすめてましたね。
聴いた事のないので借りて聴いてみようと思います○
Posted by:okita-  at 2008/03/15 [土] 03:58



そうですね、過剰に公平さを求めるとゆがんだ方向にいきがちかも知れませんね。
Posted by:peco  at 2008/03/08 [土] 00:54


”理不尽”や”不条理”が蔓延しているのが世の中。
そして性差も当たり前のようにあるのが世の中。
今はその部分に目を背ける風潮が根強いように思います。。。
Posted by:drivemycar  at 2008/03/02 [日] 23:24


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