Perfume『GAME』/レトロフューチャーな女の子の「カワイイ」パワー
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昨夜、久々にインしたはてなハイクのPerfumeのキーワードがとても楽しかったので、先日買ったばかりのPerfume『GAME』について書いてみようと思う。私はひたすらただのリスナーであり、音楽について語るべき言葉を持っていないのだけれど、このアルバムは本当に良いと思うし、楽しく感じたままに書けそうな気がするので、トライしてみた。
知識もないし、音楽的背景なんてわからないし、音楽批評とかレビューなんてたいそれたものは書けないのだけれど。。。まあ、そのへんはご勘弁を。
Perfumeの歌詞には、現代の(あるいはかつて希望を見出していた「近未来」の)消費社会で生きる女の子たちの心象風景が描写されている。プラスチックみたいな恋、買い物、ファンデーション、セラミックガール、コンピュータシティ・・・ちりばめられたキラキラしたキーワードたち。。。「カワイイ」モノ、ファッション、メイク、つまり女の子の武装道具だ。それらを配することによって、少女の強がりと仮面性を、その切なさを歌っている。そうした女の子たちの「カワイイ」パワーを肯定し、楽観的であることに堂々としている、その潔さがいい。最近のそこらの貧乏くさい「リアル」を叫んでいるロックバンドらしきものより、よっぽどロックを感じる所以でもある。その潔さは、Perfumeの独特のクールさというか、無機質さを生み出していると思う、単にデジタルな音色の印象からだけではなく。
レトロフューチャーという言葉の使い方が間違っているのかもしれないが、テクノロジーを肯定的にとらえているところ、あのピコピコサウンド、PVや衣装などから伺えるのは、80年代以前に人々が夢見ていた「近未来」的な世界観だ。そうしたかつての「夢」や「希望」が失われていくのは、80年代初頭あたりからだと思われるが(決定的なのは85年のつくば博?)、その価値を再発見し、現代の少女に歌わせることで、仮想近未来と現実を透かしあわせて再構築したのがPerfumeというユニットなのではないか。決して懐古主義ではないのでレトロフューチャーという表現は正しくないのかもしれないが、Perfumeは現代をレトロフューチャー的な近未来観で再構築しているように、私には聞こえる。初めて聴いたとき、なんだか「なつかしい」と感じたことを覚えている。
そしてこれは何度も繰り返し書いている事だけれど、私は、人工的な装飾があればあるほど、「人間的だ」「人間らしい」と感じる。ちょうど「十万桁まで計算されたパイに人間性がないというのですか? 人間以外に誰がします?」(『笑わない数学者』)と犀川先生が言うのと同じ文脈で。テクノロジー、科学を信じる精神を私は肯定する。それこそがヒューマニティであり、人間らしさだと思うのだ。だからPerfumeの音楽もとても人間的な暖かみのあるものに聞こえる。無機質でクールにきめたファッションで完全武装した女の子の本質が、本当は、無垢でいたいけな素朴さであるように。(と男の人は少女に理想を見るのかもしれない。やっぱりPerfumeはアイドルの王道なのかな。この場合、男性は、アイドルに処女性というより純潔性を求めているように思えるが)
女の子の「カワイイ」を魔法の言葉だと評したのは、確か宮台真司先生だったと思うけれど、わたしもその「カワイイ」パワーを肯定する人間だ。女の子たちが世の中でたくましく生き抜いて行くにはそういう魔法が必要なのだ。どうしたって。でないと、フィルターなしの生身の現実は単調でシビア過ぎる。
ところで『GAME』の中で好きな曲はたくさんあるけれど、個人的にとくに心に引っかかるのは「マカロニ」だ。「これくら〜い」のところでいつも泣きそうになる私は、ばかですか?wキーワードは「くらい」、「安心」、「最後」、「時間」。「安心」とその裏に隠れた不安。今目の前にある当面の幸せを失いたくない。タイムリミットをはっきりさせたいけれどはっきりさせたくない、アンビバレントな気持。この辺が私のツボ。
この曲は「恋の始まりの予感のセンチメント」と「恋の終わりの予感のセンチメント」を出会いと同時に見出してしまう、女の子の切なさを的確に表現したものだと思う。それにしてもこの歌詞のオトメゴコロの表現の秀逸さときたら。本当に中田ヤスタカさんは男性なのかと疑ってしまう位だ。でもマジで謎な人だよね。
『GAME』は作品内容的にも売り上げ的にも、成功しているアルバムだと思う。オリコンウィークリーチャートは明日確定だけど、多分1位らしい。うーん、普段チャートなんて意識しないけれど、なんだかとっても嬉しい。あ〜ちゃん、かしゆかちゃん、のっち、三人が喜ぶんだろうなと思うと、とてもほっこりした温かい気持になる。この名盤をもっと多くの人に聴いてもらうためにも、是非1位になってほしいですね。
*「Perfume『GAME』は失敗した」とか言ってる人って、単に「エレクトロ」が苦手なだけなんじゃないの? - 想像力はベッドルームと路上から
こういう議論もあったみたい。私は、inumashさんの意見に全面的に賛成かな。とくに「Perfumeはフロントの3人がその“欠けた感情”を代弁する役割を担っている」という指摘は慧眼だ。すきまや、余地って重要なんだなあ。エレクトロ音楽の系統的にも大変勉強になります。まあ、確かにある種の「軽薄さ」を感じるのは解るけれど、それに対しては香水でも吹きつけて「軽くっちゃあいけないの?」と言い返すのが女の子なのだ、ということにする。
*この文章は中田ヤスタカさんプロデュース以降のPerfumeについて書いています。それ以前についてはコンセプト自体が違うので当てはまらないと思われます。
*Perfume全体の話に終わっちゃったなあ。『GAME』以降彼女たちが新しく得たものは、「洗練」だと思う。三人のビジュアル的にも、曲のクォリティ的にも。「洗練」には切り捨てがつきものなので、なにかがなくなってしまったのも確かだけれど、一方で何を「delete」するのかという選択はとてもクリエイティブな作業だ。そこの価値もまた見過ごせない。あと私はオリジナル信者ではないので、「新しさ」とか「オリジナル性」とかはどうでもいい。オリジナルに対する「謙虚さ」は必要だけれど。中田ヤスタカさんの音は、十分謙虚で、自覚的に私は聞こえる。
関連エントリ:Perfume『GAME』の歌詞世界













