出版社/著者からの内容紹介
新シリーズ「赤×ピンク」の第1巻。躁鬱の激しいブルマ少女、まゆ14歳(実は21歳)。魅せることに喜びを感じる女王様、ミーコ(実はSMの女王様)。女性にモテる女性恐怖症の空手家、皐月(実は…)。彼女たちが毎夜働くのは、廃校の校舎を改良したファイトクラブ、それぞれが秘めた思いを胸に、たたかい続ける…。(ファミ通文庫版の紹介文より)
夜な夜な、廃校となった小学校で行われる怪しげなイベントに集う人々がいる。「ガールズブラッド」と呼ばれるガールズファイトだ。そしてそこで戦う女の子三人の、それぞれの物語。この小説を読むと、人は自分が感知した情報世界だけでしか、物語を紡げないのだなと改めて思う。それぞれが、みえているものとみえていないもの。
ここに出てくる三人の女の子は、皆家族という穴を持っている。決して家族の描写が多いわけではないのに、その存在が、あるいは不在がつきつけられる。欠けた輪郭を縁取ることでその穴が強調されるように。そういう小説だと思う。
どれも好きな話なのだが、個人的にはFile.1「”まゆ十四歳”の死体」が特にきた。これは痛すぎる。思い当たることが多すぎて、冷静に読めなかった。後半は涙で熱くなりながら、一気に読んだ。とても好きな物語だけれど、二度と読み返すことはないだろう。でも最後は救われるからそこだけは読めるかな。
陳腐なことはことをいえば、本書『赤×ピンク』は喪失と回復の物語である。「”まゆ十四歳”の死体」「ミーコ、みんなのおもちゃ」「おかえりなさい、皐月」と三話からなるが、それぞれが前の物語を補完している。
最後の話で、千夏が言うこの台詞が印象深い。
「きっと、みんなさ、お家に帰りたいんだって思わない?どっかに帰り着きたいんだけど、でも、そのお家って・・・・・・どこだろ・・・・・・・・・?」
きっと、だれもが、そう。帰りたいのに、帰れない。ほんの少しの勇気を出せばいいだけなのに、一歩踏み出す前の恐怖はなんて計り知れないのだろう。でも、大丈夫。この本がその勇気を与えてくれる。そんな気がした一冊でした。