ショートソング 2 小手川ゆあ・枡野浩一
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短歌結社「ばれん」に入会拒否され、一人で短歌を作り続けるチェリーボーイ・克夫。プレイボーイで天才歌人の伊賀に、恋も短歌も追いつきたいと願うが・・・!?吉祥寺を駆けるラブポップ青春短歌ストーリー、完結巻!!
枡野浩一原作の青春短歌漫画、完結、です。
2巻で終わるとは、あっさりですね。原作ものだからこのぐらいの分量でちょうどいいのかも。最期ちょっと駆け足気味に感じられたけど、唐突な感じも、また味があってよし。
伊賀寛介は(かつての)若手天才歌人。相変わらず、プレイボーイぶりを発揮して、えげつないことやってますが、この巻ではそのプライドがガラガラと崩れます。そのかっこ悪さといったら!!
「男は昔の女が今でも自分の事を想っていると信じている」というような話を聞きますが、それに通ずる気持の悪さが伊賀にはあります。モテる男の勘違いっぷりが痛々しい。遊んでいると思っていた男が遊ばれていたというのはよくある話。 が、それでも伊賀は魅力的がある。情けない男の魅力が。
「気づいてしまった
俺 恥をかきたくないのだ
五年前に石川啄木短歌大賞をもらって出版した歌集を超えるような作品が・・・まるでつくれてないから」
過去の自分を超えられない。この情けなさ、臆病さは人をいたいけに見せる。そしていたいけな男ほどいとおしい。
「己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。」
(山月記 中島敦)
失敗するのが、自分に才能がないとわかるのが怖くて、努力することを避けてしまう。。。なんて切ないんだろう。この身につまされ感は尋常じゃないと「山月記 中島敦」を思い出した。
一方、いろんな意味で童貞の国友克夫は、まだその恐怖を知らない。
「あとから短歌始めたやつのほうが勝てるに決まってるじゃん。すでに五百田案山子も伊賀寛介も田尾坂真由香もいてその上で歌つくるんだよ?はっきり言ってあとだしジャンケンだよ?おれがお前なら伊賀寛介になんかに絶対負けないね」(伊賀)
という言葉はかつて伊賀にも言われたのだろうか。いつか国友君がすれて伊賀のようになってしまう可能性もあるが、かつては伊賀も未来を期待された若者だったのだ。けれど、国友が伊賀になれても、伊賀は国友には戻れない。ああ、この不可逆性の悲しさよ。でも伊賀だってまだ何かになれる可能性はある。自分の枠をつくっていたのは彼自身だったのだろう。
時々頭がこんがらがっちゃうようなこともあるけれど、とりあえず、彼らは前へ進んでいく。
「花中葬 今は悲しいまま進み いつか追い抜くつもりの二十歳」
―国友克夫第一歌集『チェリー』より
「だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし」
―伊賀寛介第二歌集『東京がどんな街かいつかだれかに訊かれることがあったら、夏になると毎週末かならずどこかの水辺で花火大会のある街だと答えよう』より
関連エントリ:ショートソング 1巻の感想









純粋培養閲覧図 望月花梨



無理かもしれないが。。。













