『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』江國香織/江國作品の死の匂い

2008/03/26 [水] 23:05 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)
江國 香織

集英社 2005-02
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おすすめ平均

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出版社 / 著者からの内容紹介 愛を通して人生を切りとる傑作短篇集。
安全でも適切でもない人生の中で、愛にだけは躊躇わないあるいは躊躇わなかった10人の女たち。愛することの喜び、苦悩、不毛……。第15回山本周五郎賞受賞の傑作短篇集。(解説・山田詠美)



山田詠美さんの解説が読みたくて、文庫を買ってしまった。江國香織の『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』は山本周五郎賞を受賞しており、そのときの選考委員が詠美さんで、『小説新潮」を買って読んでいた。確かその前々回の『ぼっけえ、きょうてえ』が受賞した回に『神様のボート』がノミネートされていて、その時から選考に詠美さんが参加されていたように記憶している。山本周五郎賞は当時ユニークな選考発表方法をとっており、選考のための座談会をほぼ全部会話形式で掲載していた。それが面白くて注目していたのだ。江國さんが受賞した回もとても面白いので,興味ある方は図書館で『小説新潮」のバックナンバーを当たってみるのもいいかも。ただ、結構前なので見つけにくいかなあ。私も探してみて見つけたら、座談会の要旨を追記でアップしようと思います。
  *              *            *


 『赤い長靴』江國香織/物語と遠いコミュニケーション

2008/03/24 [月] 00:02 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
赤い長靴 (文春文庫 え 10-1)
赤い長靴 (文春文庫 え 10-1)江國 香織

文藝春秋 2008-03-07
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出版社 / 著者からの内容紹介
夫の背中に向かってひとり微笑む日和子。危ういけれどかけがえのない、夫婦というもの。江國ワールドが新展開する注目の連作短篇
内容(「BOOK」データベースより)
それから日和子は笑いだしてしまう。くすくすと、そしてからからと。笑うことと泣くことは似ている。結婚して十年、幸福と呼びたいくらいな愉快さとうすら寒いかなしみ、安心でさびしく、所在なく…。日々たゆたう心の動きをとらえた怖いくらいに美しい、連作短篇小説集。



―どうしてあなたはには言葉が通じないの?
―あなたはここにいるのに、いないみたいよ。
―わたしたち、二人でいると二人ともさびしくなるのよ。


妻が一人で喋り、夫は黙り相槌を打つだけ。どこにでもある、ありふれた夫婦の光景だ。『赤い長靴』は、そうした夫婦の、幸福と不穏が交錯する静かな日常を描いた連作短編集だ。


 間宮兄弟 江國香織

2007/11/19 [月] 19:53 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
野球のスコアづけが趣味の兄・明信と、失恋すると決まって新幹線を見に行く弟・徹信。2人暮らしの兄弟はまったくモテないが、思い出話をしたり結構楽しくやっている。ある日、徹信が勤務先の女性を明信に紹介しようと家でカレーパーティを企画するが・・・・・・・。兄弟の地味だけれど温かい日常と恋の顛末を描いた物語。
 
数年前に出た単行本を買って読んだんですが、最近文庫版が出たんですね。その頃は喪男の話がブームだったんだろうか(笑)


 お風呂で読む本 江國香織文庫本

2007/11/13 [火] 19:25 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
読書の秋にお風呂読書を
以前こういう記事があって話題の「お風呂で読む本」を試してみた気になってました。
お風呂で読める本 | フロンティアニセン濡れてもOKな耐水性のプラスティック素材の本だそう。

でも私は、大体文庫なら構わずお風呂に持ち込んじゃう
同じ本を2冊買うこともある。
お風呂は逃避だと、江國香織さんがエッセイで書かれていたがまさに、そう。
だから、逃避の代表格である読書とは相性が良いのも知れない。
本があると、長風呂できてさらに逃避時間が長くなるけれど。

そんな江國香織さんのおすすめ風呂本↓


 東京タワー 江國香織

2007/10/30 [火] 19:57 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
東京タワー
東京タワー江國 香織

マガジンハウス 2001-12
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おすすめ平均 star
star映画とは違った詩史さんの造形に深い感動
star映画を観た後に原作を読みました
star親密性とは?

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大学生の透は恋の極みにいた。年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時、世界はみちたりていた。恋はするものじゃなく、おちるものだ。透はそれを、詩史に 教わった。一方、透の親友・耕二は、女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子に夢中だった。彼女との肉体関係に…。夫もいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の対極的な恋人たちが繰り広げる長篇恋愛小説。


透と耕二は高校時代からの親友で、まったく正反対の性格の二人。17歳の頃から、それぞれ年上の人妻と恋愛関係にある。その後大学生になった二人は、異なる価値観で年上の人妻との恋を続けていく。


美しく、ふわりと軽い文章で紡がれる、気持の良い音楽に浸っているかのような一冊。軽くて、あっさりと、読み終わると何も残らない作品にも思えるが、その軽さの中に、実はすごい表現や技巧がさりげなく織り込まれており、何度も読み返したくなる。


 ふたりはともだち

2007/10/05 [金] 00:41 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
小学校の国語の教科書に載っていた「おてがみ」。


「しんあいなる がまがえるくんへ」この手紙の書き出しですでに泣きそうになります。アーノルド・ローベルのかえるくんとがまがえるくんのふたりの物語。


ふたりはお互いの見つけた素敵なもの、美しいものを相手に知らせずにはいられません。この、人生の甘美を共有しよう、というのが友情というものなのかも知れません。ひとりになりたいときもありますが、それはふたりのため。孤独は一人では感じられないということがわかります。


受験生時代、一人暮らしの孤独な夜、この絵本には支えられました。ベッドで丸まりながら、この本を開いて勇気をもらいました。


江國香織さんの『絵本を抱えて部屋のすみへ』という本で紹介もされています。
三木卓さんの豊かで力強い言葉による翻訳も素晴らしい。


丁寧な言葉でくるまれたユーモアは上品でありながら奇抜で、作品の奥行き、懐の大きさを感じさせる。意外にリアルな絵柄でちょっとぎょっとするシーンもありますが、(水着姿の絵は何度見ても笑ってしまう)それも新鮮なおどろきに満ちた子供の目線を思い出させてくれます。とにかく細部まで、豊かな物語なのです。


子供に是非読ませたい名作ですが、大人の読む絵本としてもおすすめです。
ふたりはともだち
ふたりはともだち
posted with amazlet on 08.03.18
アーノルド・ローベル 三木 卓
文化出版局 (1972/01)
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おすすめ度の平均: 5.0
5 子供に読ませたい
4 エキセントリックなユーモアが気に掛かる
5 ほのぼの

絵本を抱えて部屋のすみへ (新潮文庫)絵本を抱えて部屋のすみへ (新潮文庫)江國さんのルーツとなった絵本について書かれています。江國さんの文学少女な視点と、小説家としての独特な視点で語られた絵本は新たな魅力を増し、読みたくなること間違いなし。「ふたりはともだち」の書評は特に絶品です。


 ホリー・ガーデン 江國香織

2007/08/18 [土] 00:06 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
ホリー・ガーデン (新潮文庫)
ホリー・ガーデン (新潮文庫)江國 香織

新潮社 1998-02
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おすすめ平均 star
star時間をかけること
star大好きな1冊です
star読みやすくはある

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ホリー・ガーデン 江國香織 内容(「BOOK」データベースより)
果歩と静枝は高校までずっと同じ女子校だった。ふと気づくといつも一緒だった。お互いを知りすぎてもいた。30歳目前のいまでも、二人の友情に変わりはない。傷が癒えない果歩の失恋に静枝は心を痛め、静枝の不倫に果歩はどこか釈然としない。まるで自分のことのように。果歩を無邪気に慕う中野くんも輪に加わり、二人の関係にも緩やかな変化が兆しはじめる…。心洗われる長編小説。


  
昔から何度も何度も読んでぼろぼろになってしまった文庫本の一つ。江國さんらしい、無駄な細部に満ちた小説。「本質は細部に宿る」と言うけれどその通り、豊かなディティールが心に残る。

 
恋愛の話が出てくるが、恋愛小説というより友情の話だと思う。女同士の友情。男のそれより、淡泊そうでいながら実は濃密で、ちょっと恐い。いつも一緒にいて、向かい合ってるという関係ではなく、別々の道を歩いていて、ふと隣の道をみると目が合う。そういう、女同士の友情。

 
派手なストーリー展開は無く、淡々と紅茶のカップがどうの、眼鏡がどうのと、仕事がどうの、男がどうのと描かれていく。主人公の果歩は過去の恋愛で傷ついているが、それを「考えない練習」をしつつ夢の中のようにふらふらとしている。

 
江國香織さんの本にはよくこういう傷ついた人が出てきて、でもトラウマとかどうのと言うわけでもなく、ゆっくりと再生する物語が多い。落下する夕方もそんな感じだ。この本でも大きな物語の起伏はないが、ゆっくりと前に突き進みながら、最後には果歩を覆っていた霧がはれそうな気配で終わる。

 
それにしても江國さんの文章の巧さにはまいってしまう。ほれぼれする。さりげなく計算された描写。なんてことない表現に見えるのだけどやっぱり天才的だ。
TB:カステーラの夜さん
ぶんこやさん



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