ミーナの行進 小川洋子

2007/10/30 [火] 21:43 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
ミーナの行進『ミーナの行進』小川洋子内容(「BOOK」データベースより)
2006年第42回谷崎潤一郎賞受賞作品
美しくて、か弱くて、本を愛したミーナ あなたとの思い出は、損なわれることがない―懐かしい時代に育まれたふたりの少女と、家族の物語。
 




 
 古き良き少女小説の系統に新たに加わる傑作。

 山陽新幹線開通、川端康成の自殺、ミュンヘンオリンピック、などの世相を織り込みながらも、読み心地はふわりと優しい匂いのする、お伽噺のような家族小説。全体を包み込む神聖な幸福感。読後感の非常によろしい小説でした。
が、少し不安を感じました。というか不満かな。

この作品には小川洋子作品の最大の魅力である、悪意や昏さがない。
いや、全く無いわけではないけれど、それがベースとして流れていない。

『博士の愛した数式』が好きな人には、同様に受け入れられる作品でしょう。私も大好きな世界観です。
ただ、小川洋子さんの、ちょっと危険な香りのする小説が好きな私にとっては、そっちの系統の作品も書いていって欲しいなあと思います。まあ、この作品は、児童文学ファンタジーとして、そういう部分をあえて排除したのかもしれません。少女小説としての完成度が素晴らしい。

とにかく、読了感がいい、疲れたとき幸福感を味わえる。素敵な逃避行のできる小説です。

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 博士の愛した数式 小川洋子

2007/07/14 [土] 21:52 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
2004年第一回本屋大賞受賞作、読売文学賞受賞作。確か高校生の読書感想文コンクールの課題図書でもあったと思う。


数学ネタを使った作品は数多くあれど、数式の美しさを文学的感動に還元してみせたという点で、まれにみる傑作ではないかと思う。


80分間しか記憶が持続できず、背広のあちこちにメモを短冊のようにくっつけている博士。博士を全力で守ろうとする家政婦の「私」と息子のルート。3人の、聖なる幸せな世界が永遠に続くことを、(無理とわかっていながらも)願わずにはいられない。あわあわと淡々とした抑えた筆致の中に、逆に3人の深い愛情と絆が浮かび上がってくる。



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