『真鶴』 川上弘美
| 真鶴 | |
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内容(「MARC」データベースより)
失踪した夫を思いつつ、恋人の青茲と付き合う京は、夫、礼の日記に、「真鶴」という文字を見つける。“ついてくるもの”にひかれて「真鶴」へ向かう京。夫は「真鶴」にいるのか? 『文学界』連載を単行本化。 平成18年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞作
失踪した夫の「不在」の物語。主人公は中年の女性、母親と、思春期の娘と暮らしている。恋人(妻帯者だが)もいる。失踪した夫の日記には、ただ一言「真鶴」と記されていた。「ついてくるもの」にみちびかれるように真鶴へと向かう。そこに夫はいるのか。
これは、「存在」をめぐる小説だと思う。夫は、実際には(リアルにはと言う意味、幻想か妄想の中では出てくる)全く出てこなくて、結局真相は謎なんだけど、いないはずの夫の存在感が強烈だ。いない、から、存在が引立つのか。主人公が執着しているからなのか。
寂しいこと。切ないこと。
何が寂しいって、あるべきはずのものがなくなることだろう。あって当たり前、いて当たり前のものがないという空白は、どうやって埋めればいいのか、途方に暮れるばかりだ。
川上さんの小説は、いつも境界が曖昧だ。森羅万象、人と人の肉体の境界線、種と種の境界線、時間、場所、あらゆるものが溶け出していく。
「ついてくるもの」という幽霊のような存在や、異なるものたちが身近なのはそういうことかもしれない。といってオカルトっぽさはなく、完全に川上ワールド的としか言いようのない幻想的な世界。
この作品はよく新境地とか、ターニングポイントとなる作品だと称されている。実際そうだろう。私が、どきっとしたのは、主人公の職業。文章を生業にしている。今までこういう設定の主人公はいなかったと思う(正確には不明)。
川上さん自身に近い職業、しかも途中から、小説を書き出す。なんだか、川上さんの生の作家としての姿勢、思いが重なっているように思えて、それが刺激的だった。まあ私小説ではないし、うそばなしを得意とする方なので、主人公と作家が一致するってことはないだろうけど、山田詠美さんが小説は「内面のノンフィクション」だと言うように、やはり真実が反映されているものだと思う。
今年から芥川賞選考委員になられた川上さん。結構早いと思うが、実績と実力から言って当然。若い、書評も卓抜で、見る目のある選考委員が増えるのは老害の問題もあると言われる芥川賞にはいいことだろう。
ところで川上さんてすごーく美人なんですよね.きれいですよね。ほんと才色兼備。同じ女性ながらうっとりしちゃう。

川上氏の他の作品では『センセイの鞄』が有名ですね。 これは読みやすいしオススメです。
絵本っぽい『椰子椰子』も気軽に読めて、初めて読むひとにもいいと思います。
TB:川上弘美さん的なもの さん
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