対岸の彼女 角田光代

『対岸の彼女』角田光代【内容情報】(「BOOK」データベースより)
大人になったら、友達をつくるのはとたんにむずかしくなる。既婚と未婚、働く女と家事をする女。立場が違うということは、ときに女同士を決裂させる。高校生の頃は簡単だった。あの頃のような、全身で信じられる女友達を必要になったのは今なのに。第132回直木賞受賞作。
ともに30代で、既婚・子持ちの主婦・小夜子と、独身・子なしの女社長・葵。この2人の関係を軸に、葵の高校時代の転校生の友人ナナコとの回想がカットバックとして描かれる。主人公の働きに出る主婦の小夜子がステレオタイプで嘘くさい。が、葵の高校時代の話は、鮮烈で素晴らしい。2人が夏休みに民宿でバイトするエピソードで、バイトが終わってもなんだか家に帰る気がしなくて、ラブホを泊まり歩いて放浪する。それが結果的には大変な事件として扱われてしまう。
「ずっと移動してるのに、どこにもいけないような気がするね」
と言う台詞がとても切なくて、かつて少女時代を過ごした者にとっては、大変リアルで懐かしいような気持になる。なんだか川本真琴の歌詞の世界を連想した。
この辺は青春小説としては素晴らしいのだけれど、主婦側の話はあまり好きではない。ステレオタイプなありきたりな主婦像に思えて、狙ってそう書いたのかもしれないが、私の好みではない。角田光代さんはこれで直木賞を取られたけど、これなら128回の候補作になった、空中庭園の方が傑作だと思う。ほんと、直木賞はあげどきを逃すんだなあ。
この作品は全体としては、過ぎ去った青春を心の中に抱えた大人の女性がどう今生きていくのかということを描いた小説だ。そう捉えるとラストも納得できるし良い作品だと思う。ただ、『空中庭園』の方が作品の完成度レベルとしては高いと思うのだ。だから直木賞の空気読めなさ加減が伺える。ま、結果として本も売れて、別に問題はなかったのかもしれないが。
ところで、これ06年にWOWOWでドラマ化されていたんですね。WOWOWは結構センス良い文芸作品のドラマ化を手がけますね。以前見た川上弘美さんの『センセイの鞄』のドラマは大好きな作品だ。久世光彦さんの演出との相性も良かった。
『対岸の彼女』もどこか民放で放送しないかな。
TB:
COCO2のバスタイム読書さん
読書感想文 と ブツブツバナシさん
この作品は全体としては、過ぎ去った青春を心の中に抱えた大人の女性がどう今生きていくのかということを描いた小説だ。そう捉えるとラストも納得できるし良い作品だと思う。ただ、『空中庭園』の方が作品の完成度レベルとしては高いと思うのだ。だから直木賞の空気読めなさ加減が伺える。ま、結果として本も売れて、別に問題はなかったのかもしれないが。
ところで、これ06年にWOWOWでドラマ化されていたんですね。WOWOWは結構センス良い文芸作品のドラマ化を手がけますね。以前見た川上弘美さんの『センセイの鞄』のドラマは大好きな作品だ。久世光彦さんの演出との相性も良かった。
『対岸の彼女』もどこか民放で放送しないかな。
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