
内容(「BOOK」データベースより)
山あいの静かな町、雪沼で、ボウリング場、フランス料理屋、レコード店、製函工場、書道教室などを営む人びと。日々の仕事と真摯に向きあい、暮らしを紡いでゆくさま、その人生の語られずにきた甘苦を、細密な筆づかいで綴る最新短篇集。川端康成文学賞受賞作「スタンス・ドット」ほか、雪沼連作全七篇を収録。
2004年第40回谷崎潤一郎賞受賞。収録された1編「スタンス・ドット」は川端康成賞受賞作。
『雪沼とその周辺』収録作
* スタンス・ドット
* イラクサの庭
* 河岸段丘
* 送り火
* レンガを積む
* ピラニア
* 緩斜面
丁寧に敷き詰められた高級な和菓子の折詰のような、高品質の7編の連作短編集。決して派手な物語展開はない、地味な印象の小説ばかり。けれど、心に、しんと、沁みる。その文章から聞えてくる音はまるで音響派のミニマルな音楽のよう。
例えばこんな文章がそんな響きを語っている。
「レーンの奥から迫りだしてくる音が拡散しないで、おおきな空気の塊になってこちら側へ匍匐してくる。ほんわりして、甘くて攻撃的な匂いがまったくない、胎児の耳に響いている母親の心音のような音」
ひそやかで、ちょっと枯れた、ほのぼのとした味わいもある、堀江敏幸の文章たち。速読なんてしないで、ヘッドホンで一音一音耳を澄まして聴くように、じっくり時間をかけて読みたい小説です。
追記:そうそう、思い出したんだけど今年、2007年のセンター試験の国語に「送り火」出題されていたんですね。私は以前大学時代、塾講のバイトしてたこともあって(数学と化学・生物だったけど)毎年センター試験には注目しています。で、国語の出題作品は特に面白くて、わあこれが来たかと楽しみ。堀江敏幸さんはよく入試にも出される、受験界でも人気作家のようです。ネットで問題文と解答もあるようだからやってみるのも御一興かと。
大学入試センター試験速報
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