マークスの山 高村薫

2007/12/09 [日] 20:15 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
 『マークスの山 高村薫』
南アルプスの山中で起こった一家心中事件のたった一人の生き残りの少年が目指したマークスの山とはいったい何だったのか。同じ時期、同じ南アルプス北岳山麓で、起こった不可解な殺人事件。犯人はあっさり捕まったかのような感があったが、事件にはもっと深い謎がひそんでいた。
後の『照柿』『レディ・ジョーカー』に続く合田雄一郎刑事シリーズの第一作にして直木賞受賞作。このミスとか文春の一位もとったベストセラーですね。2003年に刊行された講談社文庫版は作者の全面改稿が施されており、ほとんど新作といっていい。旧作と比べ、今作は犯人の動機や伏線がわかりにくくしてあり、捜査のディテールがより緻密になっている。私は動機の不明瞭さというのは洗練だと考えているので、この改稿には賛成だ。もちろん両方読み比べてお得感も味わえる。どちらにしても面白い作品であることには違いない。ぐんぐん物語に引き込んでいく高村薫の筆力はすごい。硬質な文体も彼女の独特の持ち味だ。


 GO 金城一紀

2007/12/09 [日] 00:01 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
GO 金城一紀(角川書店)
 現在放送中の、フジテレビ系の連続ドラマ「SP」の脚本を務める金城一紀の直木賞受賞作です。
 日本で生まれ、日本で育ったけれど、僕は『在日』と呼ばれる―。朝鮮籍を持ち、日本に在住する主人公杉原は、民族学校に通っていた。しかし、高校は日本の通高校へ進学する。

 
普通の学校へ通うことは、日本人からも、そして在日からも特異の目で見られることとなる。まだ日本に根強く残る差別や、国籍という問題。難しいテーマを軽快な口調で読者にたたみかける。とっても痛快な小説。これは、まさにエンターテイメントの一級品。直木賞もまともな作品選びだった回と言っていいだろう。ここでは、在日云々はとりあえず置いておく。最近外国人参政権問題や税金減免問題が取りざたされていますが、(それも大事な問題なんだけど)そういう政治的なものとこの作品を結びつけたくない。しゃらくさいものは似合わない、かっこいい小説だと思うから。これを「在日文学」なんて呼んでるようじゃ終わってる。



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