封印再度 森博嗣
| 封印再度―WHO INSIDE (講談社文庫) | |
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犀川創平と西之園萌絵師弟コンビ(カップル?)のS&Mシリーズ。5作目。今回はシリーズ全体で言えば、ちょうど分岐点で箸休めといったところか。
あらすじ:萌絵は、犀川の妹の儀同世津子を通じて「無我の匣」「天地の瓢」の存在を知る。世津子がパソコン通信で知り合った香山マリモの家の家宝だという。それは壺の中に入った鍵を取り出して、箱を開けられるかというもの。匣と瓢にまつわる先代の香山風采の不可解な死。興味津々の萌絵は、犀川を強引に推理に巻き込む。そんな折り、香山家の現当主・林水が死体で発見され、娘のマリモも接触事故をおこしていた。。。
引用文は『禅と日本文化』(鈴木大拙)。禅と日本文化を世界に紹介した『禅と日本文化』と旧家の家宝をめぐる、禅をテーマにしたミステリィ。冒頭の引用文を一部抜粋する。
それはあきらかに短所や欠陥であるにもかかわらず、そうは感じられない。事実、この不完全そのものが完全の形になる。いうまでもなく、美とはかならずしも形の完全を指していうのではない。この不完全どころか醜というべき形のなかに、美を体現することが日本の美術家の得意の妙技(トリック)の一つである。
そして犀川は萌絵にこう語る。
「対称にできるのに、わざとちょっと崩す。完璧になれるのに、一部だけ欠けている。その微小な破壊行為が、より完璧な美を造形するのだよ」
「天地の瓢」と「無我の匣」のパズルを解きながら禅について考えさせられる。
このパズルを解く鍵は鈴木大拙は同書の中で言うこの言葉だろう。
「おそらく東洋人の最も特異の気質は、生命を外からではなく、内から把握することであろう。禅はまさにそれを掘り当てたのである。」
タイトルの『封印再度 WHO INSIDE』のダブルミーニングも、謎解き、伏線どれをとっても秀逸で美しい作品。この作品では事件の謎よりも匣と瓢の謎の方がメインである。そして萌絵と犀川の関係も。はっきり言って萌絵の行動は多くの読者の反感を買うだろうし、痛すぎだ(笑)。でも私は好みだこういう女の子。でもポイントは真剣に悩む犀川にキャラ萌えすることであって、そのための引き立て役なのだろう萌絵は。萌えキャラは犀川ですよってことで。
ちなみに森博嗣作品と京極夏彦作品は奇妙な偶然がこの作品でも見られる。章タイトルの英文は十牛図。その十牛図の解説が京極夏彦作『鉄鼠の檻』にはあります。
本作品こそ、「禅」をテーマにしたんですが、はは、どうも意図しない方向へ・・。いやいや、外していないはずです。十牛図も、鉄鼠の檻とバッティングしちゃったけど・・、まあ、いいや。そんなこんなで(どんなの?)京極夏彦氏より推薦を頂きました。こちらこそ、ごちそうさまでした.
浮遊工作室より
浮遊工作室より
森さん自身が禅の修行僧のようなストイックなお方ですが、ついに今後のスケジュールを公表されました。以前から作家はいつか引退すると仰ってましたが、ついにという感じです。
MORI LOG ACADEMY: なんとなく節目かも
さて、約束どおり、今後のことを少し書く。いつまで小説を書くかということは、もう5年以上もまえから決めていた。そのスケジュールにまったく変更はない。それに向かって着実に進んでいる。今日は、作品のことだけ書いておく。(中略)
ブログは来年の12月で予定どおり終了し、以後は、近況などは発表せず、できるかぎり表に出ないことにする。どんどん仕事を減らし(連載をやめ、取材も受けない)、人知れず静かに消えていきたい。つまり、来年12月が事実上最後の挨拶になるだろう。
やめるのが何年さきなのかは、担当編集者にはもちろん伝えてあるし、近辺では周知されている。このように予告ができることは、僕としては礼儀を尽くしているつもりだし、また自分でも幸せなことだと認識している。
ブログは来年の12月で予定どおり終了し、以後は、近況などは発表せず、できるかぎり表に出ないことにする。どんどん仕事を減らし(連載をやめ、取材も受けない)、人知れず静かに消えていきたい。つまり、来年12月が事実上最後の挨拶になるだろう。
やめるのが何年さきなのかは、担当編集者にはもちろん伝えてあるし、近辺では周知されている。このように予告ができることは、僕としては礼儀を尽くしているつもりだし、また自分でも幸せなことだと認識している。
なんだかこの文章から、照れというか人間味というか「文系的な」森博嗣を感じる。これが優しさということだと思う。寂しいけれど、作品はずっと残りますからね。しかも森さんは既に読むのが追いつけないくらい多作だし(笑)



トリックとしては…









