『赤×ピンク』 桜庭一樹/補完し合う物語

2008/04/28 [月] 22:21 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
赤×ピンク―Sakuraba Kazuki Collection (角川文庫 さ 48-1)
赤×ピンク―Sakuraba Kazuki Collection (角川文庫 さ 48-1)桜庭 一樹

角川書店 2008-02
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出版社/著者からの内容紹介
新シリーズ「赤×ピンク」の第1巻。躁鬱の激しいブルマ少女、まゆ14歳(実は21歳)。魅せることに喜びを感じる女王様、ミーコ(実はSMの女王様)。女性にモテる女性恐怖症の空手家、皐月(実は…)。彼女たちが毎夜働くのは、廃校の校舎を改良したファイトクラブ、それぞれが秘めた思いを胸に、たたかい続ける…。(ファミ通文庫版の紹介文より)

夜な夜な、廃校となった小学校で行われる怪しげなイベントに集う人々がいる。「ガールズブラッド」と呼ばれるガールズファイトだ。そしてそこで戦う女の子三人の、それぞれの物語。この小説を読むと、人は自分が感知した情報世界だけでしか、物語を紡げないのだなと改めて思う。それぞれが、みえているものとみえていないもの。


ここに出てくる三人の女の子は、皆家族という穴を持っている。決して家族の描写が多いわけではないのに、その存在が、あるいは不在がつきつけられる。欠けた輪郭を縁取ることでその穴が強調されるように。そういう小説だと思う。


どれも好きな話なのだが、個人的にはFile.1「”まゆ十四歳”の死体」が特にきた。これは痛すぎる。思い当たることが多すぎて、冷静に読めなかった。後半は涙で熱くなりながら、一気に読んだ。とても好きな物語だけれど、二度と読み返すことはないだろう。でも最後は救われるからそこだけは読めるかな。


陳腐なことはことをいえば、本書『赤×ピンク』は喪失と回復の物語である。「”まゆ十四歳”の死体」「ミーコ、みんなのおもちゃ」「おかえりなさい、皐月」と三話からなるが、それぞれが前の物語を補完している。
最後の話で、千夏が言うこの台詞が印象深い。


「きっと、みんなさ、お家に帰りたいんだって思わない?どっかに帰り着きたいんだけど、でも、そのお家って・・・・・・どこだろ・・・・・・・・・?」

きっと、だれもが、そう。帰りたいのに、帰れない。ほんの少しの勇気を出せばいいだけなのに、一歩踏み出す前の恐怖はなんて計り知れないのだろう。でも、大丈夫。この本がその勇気を与えてくれる。そんな気がした一冊でした。



 『聖少女』 倉橋由美子

2008/04/25 [金] 18:20 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
聖少女 改版 (新潮文庫 く 4-9)
聖少女 改版 (新潮文庫 く 4-9)倉橋 由美子

新潮社 2008-01
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star金字塔的作品です
star倉橋由美子の仕事の最高潮
star最後の少女小説

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聖少女に会ったことがあるだろうか。ギリシア神話をモチーフに、完全なる現代の寓話を倉橋由美子は書いた。寓話や神話の世界の中だけのもので、この世のものとは思えないけれど、実際のところ、聖少女は存在する。存在論的な意味ではなく、存在的な意味に於いて。


倉橋由美子さんと言えば、サブカルの世界では神様みたいな方で、カルト的な人気を誇っているが、最近までは絶版になっている著作が多く、『大人のための残酷童話』しか読んだことはなかった。2005年に亡くなられから、一部雑誌で特集が組まれたり、再び見直されて来ているようだ。今年の2月にはこの『聖少女』が新潮文庫から復刊された。



 はてなハイクの投稿をブログのサイドバーに

2008/04/23 [水] 21:52 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
はてなダイアリーにしか表示できないのかと思っていたけれど、FeedWind使えば簡単だった。気付かなかった。
日々のことやちょっとした更新は、はてなハイクの方が多いかも。


 Perfume『GAME』の歌詞世界

2008/04/22 [火] 20:16 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
前エントリがタイトルに偽りありというか、『GAME』についてあまり書けなかったので、トラックごとに主に歌詞について感想を書いてみる。

01. ポリリズム
ポリリズムときいて、ポリマーを連想する。「プラスチックみたいな恋」だってあるし。きっと熱可塑性の合成樹脂みたいな恋なんでしょう。気持は常に変わり巡る。オシムさん的に言うとポリバレントな恋かなw人はいろんな役割分担をもっているものだからね、それぞれの人間関係において。


02. plastic smile
キュートなポップチューン。焦らしているのか・・・焦らされているのか。上手な笑顔が作れない。


03. GAME
「プレイ・ゲイム」試合は始まった。結構ゴリゴリのロックサウンド。


04. Baby cruising Love
乗るつもりはなかったのに。ボートはもう岸を離れてしまった。乗ってしまった以上覚悟きめるっきゃない。って書くと江國香織みたいだな。


05. チョコレイト・ディスコ
ユーモアを感じる一曲。バレンタインの騒動って俯瞰してみるとかなり笑える。


06. マカロニ
マカロニ。恋の始まりと同時に「終わり」は生まれる。アンニュイで優しい世界。


07. セラミックガール
流行の速い資本主義大量消費社会においてはアンテナをはりめぐらさなきゃ。でもそんなスピードにちょっとついていけない、億劫になっている女の子。イケテルオンナノコに後ずさんでしまうような。『魔女の宅急便』のキキを連想した。おくてで臆病な少女はやがてアンテナの精度を高めていくのか。でもやりすぎるとレーダーマンになってしまう罠。


08. Take me,Take me
ここからの2曲の流れが素晴らしい。あまりストレートなセクシャリティを感じたことはないけれど、この2曲からは扇情的なものを感じる。暗い声色がコケティッシュで、浮遊感が心地よい。


09. シークレットシークレット
教室の斜め前の男の子の背中に目を奪われてしまう。思い切って触れてみたくなる衝動。そんな学生時代を思い出した。って私は変態かw印象的なイントロからの展開が素晴らしい。シングルカットされてもおかしくない一曲。あ、タイアップ曲だったわ既に。


10. Butterfly
蜜に引き寄せられ、次々と飛んで来ては去っていく。アイドルは「誰のものでもあって、そして誰のものでもない」ということか。って違う。結構へヴィー。


11. Twinkle Snow Powdery Snow
ダークな前曲とは打って変わって明るいキラキラした一曲。ちょっと軽め。


12. Puppy love
つたない恋はロマンティックだねと、大人になってしまった自分には眩しい。でもいつまでたっても男の子の不器用さは魅力的。あんまり女慣れしてるのはつまらない。ツンデレーションってこのアルバムのコンセプトになってる気がする。



『GAME』を通して聴いてみると、アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに転落してダース・ベイダーになったように、Perfumeも暗黒面に落ちるかもしれないと思ってしまった(いや、いい意味で)。そんな傾向が見られたような。Perfume、これからも期待。


 Perfume『GAME』/レトロフューチャーな女の子の「カワイイ」パワー

2008/04/21 [月] 19:19 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
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GAME(DVD付) 【初回限定盤】Perfume 中田ヤスタカ

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starあぁ音が気持ちよい
star中田ヤスタカが聞きたいのではない。
starこれを聴けば、もう"Perfume通”!(半分居直り)

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Perfume『GAME』/レトロフューチャーな女の子の「カワイイ」パワー/「マカロニ」に見る恋の終わりのセンチメント

昨夜、久々にインしたはてなハイクのPerfumeのキーワードがとても楽しかったので、先日買ったばかりのPerfume『GAME』について書いてみようと思う。私はひたすらただのリスナーであり、音楽について語るべき言葉を持っていないのだけれど、このアルバムは本当に良いと思うし、楽しく感じたままに書けそうな気がするので、トライしてみた。
知識もないし、音楽的背景なんてわからないし、音楽批評とかレビューなんてたいそれたものは書けないのだけれど。。。まあ、そのへんはご勘弁を。



 映画「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」の声優決定!!

2008/04/16 [水] 23:00 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
菊地凛子、加瀬亮が押井守最新作「スカイ・クロラ」で声優に挑戦!

というわけで草薙水素(クサナギスイト)役に菊地凛子さん、函南優一(カンナミ・ユーイチ)役に加瀬亮さんというキャストが発表されました。


映画「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」キャスト・まとめ
草薙水素(クサナギスイト):菊地凛子
函南優一(カンナミ・ユーイチ):加瀬亮
土岐野尚文(トキノ・ナオフミ):谷原章介
三ツ矢碧(ミツヤ・ミドリ):栗山千明
8月2日より全国公開
「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」オフィシャルサイト

加瀬さんというと、雰囲気ぴったしという感じだが、あるとすればカンナミかと思っていた。まさか実現するとは。この二人がメインということは、『スカイ・クロラ』一作分のみの脚本か。ナ・バ・テア以降はないのかなあ。でも『スカイ・クロラ』は時系列的には一番最後なので回想としてあるかもしれない。私は、『ナ・バ・テア』が一番好きなんだ!!でないと押井さんがやると断言した「濡れ場」がないじゃあないか!いや、スカイ・クロラだけでもあったか、ベッドシーン。
まあこのスカイ・クロラには、濡れ場よりもエロティックな死の匂いがぷんぷんしてるけれども。
*以下、追記には一部ネタバレがあります。



 小学館 オールカラー版 世界の童話 4巻 アラビアンナイトのお話

2008/04/12 [土] 23:56 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録

なんだか、ここのところずっと体調が優れない。ずっと微熱が続いてるし。あんまりこういう体調の悪さを愚痴るようなネガティブなことは書かないようにしたいものだが、仕事忙しくて愚痴る場所ないので、ついブログに。


ところで最近古い本を掘り出すのがちょっと愉しい。
今日は『小学館 オールカラー版 世界の童話 4巻 アラビアンナイトのお話』
このシリーズ有名ですね。でもまた絶版ですw絶版本多いなあ。やはり出版不況を感じずにはいられない。最近はすぐ絶版で出版点数だけ多いという、数打ちゃ当たる方式になっていない?
まあ私が持ち出す本は古すぎ、ですけどね。
表紙の画像が見あたらないので携帯のカメラですがうp



今見ても全然古びない、センスのいい絵に驚き。色遣いもビビッドでとてもポップです。
そして読者を物語に引き込む書き出し。このシンプルさが素晴らしい。この前書いた石井桃子さんの『子どもの図書館』の「子どもの物語にたいせつな要件」とはまさに、これ。石井さんは桃太郎のお話の出だしを例に挙げ、
「そのものずばりの主人公が出てきて、すぐ動きはじめて、事件がおこります。どうしてこういううまい形式ができたかと感心しないではいられません」

と子どもの本の出だしのあるべき形を示されている。
この本の「ふしぎなランプ」の出だしは
「とおいみなみのくにに、アラジンというおとこのこがいました。
おとうさんはなくなって、おかあさんとふたり。きり
でも、アラジンはげんきいっぱい、まいにちなかまとかけっこしたり、かくれんぼしたりしてあそんでいました。あるひのゆうがたです。
アラジンがみちであそんでいると、しらないおじさんが、こえをかけました。」

主人公が出てきて、すぐに物語が動く。ここで子どもたちは「何か事件がおこるぞ」とお話に引き込まれる。
このシンプルで完璧な流れに、うっとりしてしまう。


小学館 オールカラー版 世界の童話シリーズは全巻ではないけれど、いくつか他にも持っていたような。
子どもの頃に読んだ懐かしい絵本といえば、タイトルが思い出せないけれど、女の子が誘拐されて、閉じこめられるんだけど、機転を利かせて鏡で合図を送って脱出する・・・というお話。


 『リンダリンダラバーソール 』大槻ケンヂ/青春の「終わり」と「カラッポ」さを知る人へ

2008/04/10 [木] 00:20 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録

青春は、その真っ直中にいるものには、その実体を掴むことはできない。通り過ぎたものだけが青春の本当の姿を視ることができる。
『リンダリンダラバーソール』は、大槻ケンヂが筋肉少女隊としてデビューした88年から90年代前半にかけてのバンドブームを描いた、青春小説だ。

リンダリンダラバーソール (新潮文庫)
リンダリンダラバーソール (新潮文庫)大槻 ケンヂ

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starバンドブームジェットコースター
starバンドブームの世代じゃないけど

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 ダ・ヴィンチ 2008年05月号/ダ・ヴィンチの釣り師的傾向

2008/04/07 [月] 19:22 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録

春。季節の変わり目に風邪ひきやすい私は、ここ数日案の定風邪っぴきです。帰宅後はものを書く気力がなく、なかなかアップできない。でもちょっと元気なってきたので少し書いてみる。


ダ・ヴィンチ 2008年 05月号 [雑誌]ダ・ヴィンチ 2008年 05月号 [雑誌]

メディアファクトリー 2008-04-05
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春。ダ・ヴィンチ 2008年 05月号はリニューアル第一号という事で新連載が目白押し。ちょっと遅いですけど、簡単に紙面紹介。
特集は
1.三つ星☆☆☆ワンコイン文庫
2.マンガ大賞2008決定!!大賞は『岳』に決定!
3.文化系トークラジオLife


 『子どもの図書館』 石井桃子/石井桃子さんのリズム

2008/04/04 [金] 22:01 このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録
asahi.com:児童文学者の石井桃子さん死去 101歳 - 出版ニュース - BOOK
asahi.com:子どもの喜び常に探求 評伝・石井桃子さん - 文化・芸能

児童文学者で『くまのプーさん』などの翻訳で知られる石井桃子さんが2008年4月2日亡くなられた。
今私の手元には古い岩波新書がある。
子どもの図書館 (1965年) (岩波新書)子どもの図書館 (1965年) (岩波新書)
石井 桃子

岩波書店 1965
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『子どもの図書館』(石井桃子著・岩波新書)1965年初版の1975年12刷のものだ。
この本は、石井さんがご自宅で開かれていた子どもの図書館、「かつら文庫」の経過を綴ったもの。それに加えて石井さんの児童文学に対する真摯な考えが語られる。




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